田中 基英

近畿大学医学部循環器内科 医学部助教B

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大学5年生の頃、近畿大学循環器内科教室の学生教育と臨床実習がとても充実していた事から、私は循環器内科に興味を持つようになりました。

「どんな医局なんだろう?」と思った私は、当時、医局で毎週心電図のモーニング勉強会が開催されている事を知り、フラリと参加してみました。主催者である栗田先生は「君!心電図に興味があるのか!!」と嬉しそうに私に話しかけ、ディバイダをプレゼントして下さいました。

今思えば、これが近大の循環器内科教室に入局したきっかけだったかもしれません。

不整脈チームの責任者でもある栗田先生は、非常に情熱的であり、新しい心電図を見つけては嬉しそうに

「田中君!面白い心電図を見つけたよ。なんだと思う!?」

「…えぇと、頻拍でRRが整だけどQRSが途中でナローからワイドに変化して…PSVTの変行伝導ですか?」

「惜しい!これはね、房室回帰性頻拍中に脚ブロックが生じたもので、Coumel現象と言うんだ」

「く、くーめ……?」

「大丈夫!国試には出ないから(笑)でも、変行伝導が出てきたのは凄いよ。かなり読めるようになったね。」

私は、徐々に心電図が読めるようになっていくことが楽しくなり、大学6年生に進級する頃には、生涯に渡って循環器内科を学びたいと思うようになっていました。大学卒業後は、他病院の循環器内科医局にも見学へ行きましたが、最終的には「近大の循環器内科教室が一番楽しそうだ」と思って、入局を決意しました。

入局後は冠疾患、弁膜症、心不全、不整脈など各専門チームをローテートし、循環器内科医としての基礎トレーニングを行いました。その中で、私は学生時代から一貫して興味を惹かれた、不整脈領域をサブスペシャリティとして追求したいと思いました。

現在は、心臓電気生理学、カテーテルアブレーション、ペースメーカ、埋め込み型除細動器など、勉学・手技の向上に励みながら、不整脈の奥深さを楽しんでいます。

また、2018年には社会人大学院に入学し、相談がしやすい上司にも恵まれて、研究・論文作成など、日々充実した時間を過ごしています。10年間使い続けているディバイダを眺めながら、近畿大学循環器内科教室へ入局した選択は間違ってなかった、と今も感じています。

現在チームを組んでいる安岡医師からのコメント

田中君がまだ研修医だったころ、カテーテルアブレーションに興味がありそうだったのでアブレーションカテーテルを操作させてみると見事に治療できました。その頃からこいつは見込みがあると思っていました。入局してからの田中君はますます不整脈に興味をもち、不整脈をサブスペシャリティーに選んで、今では日々アブレーションしています。理屈抜きに楽しい環境があれば、人は継続して成長していけるという言葉を具現化している男です。