虚血性心疾患(狭心症など)

虚血性心疾患(狭心症など)とは、冠動脈が狭くなったり、閉塞したりすることで血流障害を起こす病気です。冠動脈は心臓の筋肉に酸素や栄養を送り込むはたらきをしています。血液が十分に心筋に行き渡らなくなったとき、心臓は酸欠(虚血)状態となり、胸痛等の症状としてあらわれます。

虚血性心疾患は高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などにより冠動脈が動脈硬化を起こすことを原因として発症します。

 治療説明

上記冠動脈CTで示すように動脈硬化が非常に進んでカルシウム成分が血管に沈着し、石灰化が進行してくる(図の右の症例)と血管は非常に硬くなり、通常のバルーン(風船)、ステント(冠動脈の中に留置する金網)治療のみでは拡張が悪く再狭窄率も高くなります。

当院ではOCT、OFDI、IVUSといった色々な血管内画像診断装置を使用して拡張困難が予想される病変かどうかを判断し、個々の症例にあった最適な治療戦略を行っております。

石灰化が強くバルーンだけでは十分な拡張を得ることが難しいと判断した症例に対しては、石灰部分を削る下記のような高速回転式冠動脈アテレクトミー(ロータブレーター)、ダイアモンドバックといった特殊なカテーテルを使用した治療を積極的に行っております。これら特殊カテーテルでの治療は、どこの病院でもできるわけではなく、一定症例数以上のカテーテル治療を行っていることなど施設基準を満たした施設のみで使用が可能です。

 ロータブレーター

ロータブレーターは歯医者さんが歯の治療に使用するドリルとよく似ています。

先端にダイアモンドをちりばめた高速回転ドリルで1分間に14-23万回の回転を行い、石灰化を伴う動脈硬化の強い冠動脈狭窄病変を削る治療です。

ドリルの大きさも1.25mmから2.25mmまで病変に応じて使い分けます。

 ダイアモンドバック

ダイアモンドバックとは、従来からのロータブレーターに加えて、最近本邦にて使用可能となった高度石灰化病変に対する治療器具です。

先端から6.5mmのところにクラウンと呼ばれるダイアモンドで構成された部分があり、このクラウンが1分間に8万回または12万回の軌道回転を行い、石灰化病変を削ることができます。

ロータブレーターとの違いは、ダイアモンドバックは軌道回転することでクラウンサイズよりも大きく削ることができ、また前方向だけでなく後方向に引いても削ることができるのが特徴です。

患者さんの病変に応じてロータブレーターとダイアモンドバックの使い分けを行い、患者さんそれぞれの石灰化病変に対しより適した治療法を選択しております。

実績

2019年度:ロータブレーター8例、ダイアモンドバック0例

2020年度:ロータブレーター54例、ダイアモンドバック10例

 実施医

  • 中澤 学
  • 上野 雅史
  • 水谷 一輝