僧帽弁閉鎖不全症とは?
僧帽弁とは左心房と左心室の間にある心臓弁で、適切に開閉することにより効率よく血液を心臓から全身へ送ることが出来る、いわゆるダムのような重要な働きをしています。
さまざまな理由 (心不全による心臓拡大や僧帽弁そのものの弁機能の悪化など)により僧帽弁の閉鎖不全が起こることがあり、血液が左心室から左房内に逆流してしまうことがあります。その病気を僧帽弁閉鎖不全症といいます (僧帽弁逆流症ともいいます)。
治療の特徴
僧帽弁閉鎖不全症に対する治療としては、従来 薬物加療と外科的手術が一般的でしたが、新たな治療オプションとして低侵襲な心臓カテーテル治療である経皮的僧帽弁接合不全修復システム(マイトラクリップ)の施行 (図1)が可能です。
図1:マイトラクリップシステム (アボット社提供)
特徴としては
① 足の静脈からカテーテルを挿入するだけで治療が出来るの (図2)で身体への負担が少ない
- ご高齢、併存疾患などにより外科手術リスクが高い患者さんでも実施可能
- 心臓を止めずに治療が可能であり、心臓手術が施行しにくい心機能が悪い方にも安全に実施可能
② 入院期間が短い(約1週間)、早期に社会復帰が可能
③ 低侵襲に僧帽弁逆流を治療出来るため (図3)、息切れや浮腫みといった心不全症状を改善、及び心不全による再入院の軽減が期待出来る
ことが挙げられます。
図2:マイトラクリップ治療
図3:クリップ治療による僧帽弁逆流の改善
治療までの流れ
①外来受診、検査 (心エコー検査にて適切な僧帽弁の形態を評価)
②ハートチームにて治療方針を決定
③施行1-2日前に入院
④マイトラクリップ治療実施
⑤術後3-5日後に退院
当院での特徴
マイトラクリップはインターベンション医、エコー医、麻酔科医が協力して実施します。
また当院ではマイトラクリップだけでなく、心臓外科がMICS (minimally invasive cardiac surgery)による僧帽弁治療を得意としています。
患者様毎に病態や僧帽弁の形態は異なるため、ハートチームで相談の上、患者様に最適な治療方法を提案します。
実施医
- 中澤 学 (実施医)
- 水谷 一輝 (実施医)
- 河村 尚幸 (実施医)
- 三好 達也(心エコー医)
- 松添 弘樹(心エコー医)
- 吉田 彩乃 (心エコー医)
- 副島 奈央子(心エコー医)